晶文社『中学受験案内2024年度用』の巻頭特集「私学のユニバーサル教育」をご紹介するシリーズ。第2回目は、青稜中学校の特色あるプログラムのご紹介です。
ビブリオバトルで鍛える発信力
中1・中2で2月に実施するビブリオバトルは,各クラス内で予選を経た代表者が練習を重ね,3分間の発表に臨みます。代表以外の生徒も聞く力をつけ,質疑応答で建設的な質問ができる力を養う,成長の機会となっています。
ビブリオバトルのキャッチコピーは「人を通して本を知る。本を通して人を知る」。本を介して,目の前の他者,本の中の他者,そして自己への理解を深めます。
読書で未知なる他者・自己と出会う
時代や時空を飛び越えて知らない価値観に接する読書を重視しています。中学3年間は朝読書を毎日10分間実施。中1では,毎週火曜日の1 時間目を読書の時間とし,45分間じっくりと自分の好きな本を読みます。
友達の読む本が気になったり,生徒同士で薦め合ったりして,自分が選ばないような本への広がりを持ちます。また,読書は個々の内面に関わることなので,その本を読んでいた他者を理解することにもつながります。ビブリオバトルはもはや日常です。
思考を深め,社会参加を促すゼミナール
学校は正解を教えるのではなく,模索する場として捉える本校らしい授業がゼミです。中2・中3合同で実施され,成績や結果に左右されない学びを展開。先生自身も教科の枠や授業スタイルにとらわれずに挑戦ができ,生徒と共に探究しています。幅広い学問に触れてほしいという思いから,中2と中3では別のゼミに所属してもらいます。
例えば「多様なメディアによる『物語』を読み解く」では,最新・話題の映画や漫画,アニメーション,絵画や写真から,人物の心理描写や関係性,時代考察など,多角的に背景を読み解きます。
2023年度新たに実施したゼミが金融です。投資について学ぶなど,生活に密接したお金について考えます。クラウドファンディングでクラブの活動資金を集める計画も実現させ,クラウドファンディングサイト『S-BLUE』を開設。支援を得られるような表現の仕方や,支援者へ還元する責任も合わせて学びます。当たり前に享受している環境を見直し,お金の流れや大切さを知る機会です。
このゼミで学んだ彼らがどんな進路を選択し,掴み取るのかも楽しみです。
ゼミナール抜粋
◆ 西洋音楽史入門 ◆ プログラムをつくろう
◆ 変態学~メタモルフォーゼへの誘い~ ◆ 文化教養ゼミ
◆ 芥川賞を読む・j-POP を読む ◆ BADMINTON
◆ 英語と日本語を通して新しい自分と出会う
◆ Social Change-私達にできること- ◆ 思考力養成講座
◆ 目指せ! お天気お姉さん(お兄さん)! ◆ 美術ゼミ
拡がるクラブ活動
ゼミナールから発展したクラブがあります。課外でも,高校進学後も探究。活動の幅が広がりました。
「2030 ~ミライへの挑戦~」よりSDGs部が誕生。SDGsの開発目標に関連した班に分かれて積極的に活動しています。ジェンダー問題に取り組む班,食品ロスに取り組む班,ロシアのウクライナ侵攻が勃発した際,すぐに募金活動を始めた班などがあります。
「多様なメディアによる『物語』を読み解く」からは青稜アニメーションが生まれました。2023 年度文化祭でアニメーションを公開しました。公開したアニメーション作品は,寄付のリターンとしてクラウドファンディングサイト『S-BLUE』からダウンロードできます。
元々あった自然科学部にも探究心溢れる活動が。飼育していたイグアナが永眠した際,命を尊みつつ,自分達で作り方を調べて剥製にしました。
連日,卒業生が訪れ,進路講演に立ってくれることも。在学中に文化祭を取り仕切った経験から,大学進学後は何万人規模の学園祭を統括した人。東南アジアで日本語教師をしている人。ヨーロッパでインテリアデザイナーとして活動する人etc. 活躍の場は世界規模!